…メトロポリタン美術館
コスチューム・インスティテュート・ベネフィット2026年…
2026年5月4日、ニューヨーク
…ひとり、またひとりと…
トム ブラウンは、アンドリュー・ボルトンによる「コスチューム・アート」
のキュレーションを讃え、身体というフォルムを探求する。
12の身体が降り立つ…
一歩、また一歩…
捻じれ、角度を変えながら…
ポーズ、フラッシュ、ステップ…
一歩… また一歩… また一歩…
ともに在りながら、切り離され…
あらゆるシェイプ… あらゆるフォルム…
着飾られ、脱ぎ去られ、その狭間に漂う…
閉ざされながら、さらけ出された身体たち…
…チェイス・インフィニティ―「裸のボディー」…
チェイスは、ミロのヴィーナスから着想を得た、刺繍によるトロンプ ルイユ ドレスを纏う。150万枚を超える重ねられたスパンコール刺繍と、600色以上のカラーで構成された段状のシルクフリンジによって、まるで絵画の筆致のような表情を描き出す。足元にはブラックのトム ジョン 4バー・プラットフォームヒール。
人体そのものが芸術作品となり、トムは“身体”の描写を通して、見る者の視覚に錯覚をもたらす。
…ドウェイン・ジョンソン― 「死すべきボディー」…
ドウェインは、350メートル以上に及ぶハンド プリーツのシルク リボンを骨格構造のように配した、ブラックの3プライ モヘア テールコートを着用。プリーツスカートとトラウザーパンツ、ホワイト シルク ファイユのベスト、ウィングカラーシャツ、ブラックのペブルグレイン レザーによるクラシック ウィングチップ ブーツを合わせる。
過去、現在、未来へと連なる“身体”の有限性と永遠性。その二面性を通して、ドウェインはトムが描く強さとエレガンスを体現する…
…フィン・ウルフハード―「再生されたボディー」…
フィンは、ブラック ウールとホワイト シルク ファイユによるデコンストラクテッド テーラリングを纏う。ホワイト ウールのトラウザーパンツとユーティリティ スカート ベルト、ウィングチップ ブーツを合わせる。ホワイト部分には抽象的なテクスチャー ペイントが施され、ファブリックそのものをキャンバスとして扱う。
ツイード、シルクファイユ、オーガンザ、レース、モスリンなど、白の濃淡による素材を用いたアップリケはすべて手作業によるもの。布地をキャンバスとして扱うことで、トムはコラージュと歪みを通じた“身体の再生”を探求する。
…オリヴィア・ワイルド ― 「抽象化されたボディー」…
オリヴィアは、ブラックのダッチェス サテンによるオフショルダー コルセット ドレスを着用。露出したタンレザーのパニエとペチコートに、オフホワイト、ヌード、ブラッシュカラーのチュールを300メートル以上重ねた雲のようなシルエットを組み合わせる。足元にはブラック パテント レザーのロングウィング ブローグヒール。
コルセット、パニエ、バッスルといった構築的なアンダーガーメントが生み出す変形シルエット。その抽象性と芸術性に捧げるドレス。
…ビル・スカルスガルド ― 「老いるボディー」…
ビルは、ウールとシルクサテンによるロング丈パッチワーク タキシードに、ブラックカシミア ベスト、ブラック コーテッド コットンのオーバーサイズ ピーコート(シャーリング カラー付き)、シルクファイユタイ、クラシック ウィングチップ ブーツを合わせる。
“老い”は、トムの25年にわたるアーカイブファブリックによって表現される。一針一針のハンドステッチが、衣服全体、そして最終的には身体そのものを支えている。
…スケプタ― 「刻まれたボディー」…
スケプタは、自身のタトゥーアートから着想を得た、手描き風サテンステッチ刺繍を施したホワイト ウールのテーラード ジャンプ スーツを着用。刺繍の位置やスケールは、実際のタトゥーを模倣するよう精密に設計されている。ブラック レザーのモトブーツを合わせ、500,000針以上、4,500メートルを超えるブラックスレッドを使用。
“刻まれた身体”は、皮膚そのものを芸術媒体として捉え、展覧会の重要なテーマへと接続していく。
…マルセロ・ヘルナンデス ― 「クラシック ボディー」…
マルセロは、ブラック ヘリンボーンのダブル ブレストスーツに、ブラック&ホワイトのブリオン ティッピング、ブラックのペブルグレイン レザーによるロングウィング ブローグを合わせる。
クラシックでクリーン、そしてタイムレスなシルエットを通して、トムのテーラリング哲学を体現する存在。
…リンゼイ・ボン ― 「クラシック ボディー」…
リンゼイは、大理石彫刻から着想を得たデコンストラクテッド トロンプルイユ ドレスを纏う。ホワイト、グレー、シルバー、クリアクリスタルの500,000粒以上のガラス カット ビーズとビューグル ビーズ刺繍を施し、多彩な白のチュールアンダースカートを重ねる。足元にはホワイトのペブルグレイン レザーによるロングウィング ブローグ ヒール。
メトロポリタン美術館に収蔵される古典的大理石彫刻から直接インスピレーションを得たドレスは、“視覚の錯覚”を通してトムのヴィジョンを現代へと呼び戻す。
…アドゥ・アケチ ― 「妊婦のボディー」…
アドゥは、ブラック スパンコールの立体的なオフショルダージャケットに、ブラックシアーギャザードチュールドレス、ソフトパテント レザーのスペクタトアヒールを合わせる。
誕生と新たな始まりに着想を得たこのルックは、レース、シルクオーガンザ、カットガラスビーズ、立体スパンコールによって構築される。5月生まれの象徴とされる“スズラン”の花を、1,100以上のハンドメイド・シルクオーガンザフラワーで表現。そこに差し込まれたピンクの花々は、女児の誕生をほのめかしている…
身体の変化という物理的プロセスを通して、衣服の進化を探求する。変容は、感覚を呼び覚ます。
…エイミー・シェラルド…
自身の作品《Miss Everything (Unsuppressed Deliverance)》(2014年)から着想を得て、エイミーはネイビーウールとネイビー シルク ファイユを組み合わせたノースリーブのフロアレングス プリーツドレスを着用。ホワイト シルク オーガンザのプリーツ インサートと大胆なハイスリットを備え、肘上丈のホワイト レザーグローブ、ホワイト ソフトパテント レザーのウィングチップ パンプスを合わせる。
ポルカドットのアップリケは、マイクロパールを重ねた立体的なバイコーン クリスタルで構成。
ファッションを芸術として最も直接的に表現するなかで、アーティストの手仕事が命を吹き込まれ、エイミー・シェラルドの作品世界と、トムの精密なテーラリングが融合する。